シノビガミ「出口なし」シリーズ、マギカロギア「ソロモン・グランディの永遠の一週間」等のシナリオ配布まとめと、GMさんへの質問集、リプレイ、あとはセッションばかばなしのTRPG系Blogです。

本館 Kaleidoscope Syndrome
妖術師の話(ALS真帝国ガイドブック発売記念2)
(あるツァオベラーが物語る)


 見つかる? 捕まる? 殺される? 何で私が恐れるものか。
 私を誰だと思っている。私を指名手配しているあの都市の、「死刑」執行のカバラ装置は、私が作ったものなのだよ。疑うならば私の研究所をお見せしよう。同じ装置が、プロトタイプから一揃い、全て稼働可能な状態で設置されてあるとも。
 同志たるツァオベラーたちがあんなにも頑迷で愚かであったことは計算外であったがね。
 誰も理解しようとしなかった。あれは偉大な実験なのだ。多くの者をあの装置に掛ける必要があったのだ。栄誉ある実験体を増やすため、死刑執行の装置に擬して設置し、加えて少々法の解釈を歪めたところで何の問題があったろう。
 あれはね、君、アスガルドへの門なのだ。私がとうとう造りだした、理想郷アスガルドへと人を送る転送装置なのだよ。素晴らしい!
 送るものは魂さ。被験者は死んだわけではない、魂を送り出しただけなのだと。マナの数値のデータも出して、繰り返し説明しても奴らは理解しなかった。被験者が確かにかの地にたどり着いていると、私は確信を持つに至る結果を出していたのにだ! ばかものめらが。
 君たちは理解してくれると信じているとも、この素晴らしさを! 何せ君たちはクエスターだ。シャードに呼ばれ、アスガルドに至れと囁かれ、手がかりもなくかの理想郷を求め旅する、滑稽にして崇高なる永遠の旅人たちなのだから!

 さて、その恐れるまでもなく、喜ばしいばかりの「死刑」の直前に、私がわざわざ脱獄などという泥臭い真似をしてまで君たちのもとに来た理由の話に移ろうか。
 私はかの装置の研究中に、もう一種の転送装置を偶然ながら開発した。こちらは口にすると少々気恥ずかしいがね。時を移動する、あれだ、いわゆる何とかマシンというやつだよ――
 己の身をもって実験し、立ち寄った未来で、私は依頼されたのだ。件の「死刑」執行装置に、君たちを座らせてくれと。私は誠実な男だよ、そして自分の造りだしたモノに縋られて喜ばぬ科学者はいないだろうよ。どんな手段を使っても、依頼は果たしてみせるつもりだ。
 依頼人が誰かって。ふむ、特に口止めはされていないね、伝えておこうか。はるか未来で、アスガルドを探す旅に疲れ果てた、哀れな君たち自身だよ。



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召使いの話(ALS真帝国ガイドブック発売記念1)
なんて顔をしているんだ。真帝国の少尉様が。
ほら、もうすぐお前の部下たちが来る。足音が聞こえるだろう。
立ち上がれ。背筋を伸ばせ。小憎たらしい面構えに戻れ。
わたしはきっと帰ってくる。次のわたしが帰ってくる。
前のわたしも、今のわたしも、次のわたしも変わりはしない。
私は所詮、エイリアスだ。

ああ。お前は今まで本当に、気づかずにいてくれたのか。
そうだ。私が死ぬのは初めてじゃない。
暴走したズィーガーに追いつめられたあの時も、
例の施設でリアクターが爆破されたあの時も、
砂漠でテロリストどもとやりあったあの時も、
私は本当は死んでいた。
そしてそのたび帰ってきた。次の私が帰ってきた。
デウス・エクス・マキナの御わざは素晴らしきかな、
複製はいくらでもできる。
私のシリーズは記憶もほぼ、だ。

「ほぼ」は「ほぼ」さ。穴埋めの手段はアナログだ。
前任者たちが残した文書や映像の記録を渡されて、
抜けている部分があれば一夜で覚えろと言われてな。
薄暗い部屋で全て読むんだ。
お前の生まれた頃のことから軍人としての仕事まで、
「私」がお前の家に遣わされた時期以降の話は特に念入りに。
お前はライ麦パンが嫌いで、雑音の無い部屋が好きで、
いらいらするとセフィロトのスペースキーをかつかつ叩く。
紅茶の砂糖はスプーン半分、そんなことをみんなみんな。
まるで恋をした娘のように、お前のことを覚えたんだ。

だから大丈夫。私は死なない。死ぬのじゃあ無い。
そういう感覚の生きものなんだ。まったく辛いことじゃない。
お前のそばに今までいたのは、すべて連続したひとつの私だ。

ああ、けれど、けれど、
お前をこんなに驚かせて、そんな顔を見ることができるのは
わたしが最初で最後なんだな。
なぜか胸のすく気分だよ。
くだらない話だ。これではまるで本当に……


……ほら。扉の外までやって来た。
立て。私の身体はこのままでいい。
服を汚させてしまったな。明日来る私に洗うように言え。
その明日までに、無事に家まで帰るんだぞ。
はは。怒るな。いや、それでいい。小憎たらしいいつもの面だ。
立て。三度目だ。次は言わない。たぶん言えない。
行ってくれ。頼む。さよならだ。


――ああ、……おやすみ。……また、明日。



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