シノビガミ「出口なし」シリーズ、マギカロギア「ソロモン・グランディの永遠の一週間」等のシナリオ配布まとめと、GMさんへの質問集、リプレイ、あとはセッションばかばなしのTRPG系Blogです。

本館 Kaleidoscope Syndrome
「アントン・シラックという商人の話」(後)
(前編: 「アントン・シラックという商人の話」(前) )


 * * * * *


 私は言った。
 あんたはそんなことできないよ。
 人に頭も下げられないし、草取り鎌も持ったことない。だいいち年で、足も腰も悪くて、寒いと痛風で歩けないじゃないか。

 何イ。

 できないし、しなくていい。それで体壊してぼろぼろになってくあんた、見たくない。

 そんなこと言ったって、おれたちゃ一文無しなんだぞ。売れるものだって何にもねえ。

 私がいる。

 ……。

 私はあんたの売りものだ。いつもあんたが言ってるじゃないか。私は売れ残りだって。

 生意気言ってんじゃねえ、売れ残り。てめえみてえな痩せっぽち、リンゴ一山にもなるもんか。

 残念だけど、相場は分かる。あんたのおかげで私は、読み書きもできる、計算もできる。コショウ一箱と船賃くらいの金にはなれる。

 ……。だめだ。

 だめじゃない。

 うるせえ。

 ほかに手があるか。

 うるせえ、うるせえ、うるせえ! てめえに何が分かる、このちび、あほうの役立たず!

 アントンは激昂して立ち上がり、私を床に殴り倒した。
 めちゃくちゃに蹴られて殴られて、その後の事はよく覚えていない。
 ばかやろう、ばかやろう。ちくしょう、このちび。ばかやろう。
 アントンは、ずっとそんなことを喚いていた。泣きながら。


 * * * * *


 宿を追い出されるまでの数日。アントンは、ひとことも私と口を聞かなかった。

 私の顔の腫れもひいた、最後の日。小さい荷物を抱えて宿を出ると、向かった先は港のそばの、人買いのくる闇市だった。
 私は品定めされ、せりにかけられ、買い手が決まった。

 買手の男はアントンにいくつか簡単な確認をして、書類を交わした。
 この子の名前は。男が聞いた。
 ……カトン。ぶっきらぼうにアントンは答えた。

 カトン・シラックだ。

 私は顔を上げた。
 アントンはもう背中を向けて歩き出していた。禿で猫背の後ろ姿が倉庫の角に消えるまで、一度も振り返らなかった。




(終)
22:26 TRPG以外 comments(0) trackbacks(0)
「アントン・シラックという商人の話」(前)
 私の名前がカトンというのは、主人が私を買ったとき、安い綿布ほんのいくらかとの引き換えで済んだから、ということらしい。苗字はない。ただのカトン。安く買ったはいいが、ちっとも売れねえ。主人はぼやいて、仕方なく私を自分の身の回りの世話に使っていた。
 cottonで、カトン。この訛りは主人のものだ。諸国を巡る商人で、出身はどこの国かも誰も知らない。
 名前をアントン・シラックといった。名前だけなら坊ちゃんぽいが、実際の彼は禿で猫背のとんだごうつく爺いだった。

 金ならあるが、品性は無い。私にも商売仲間にも、すぐに手が出る足も出る。頑固で癇癪もち、酒癖は悪い。
 が、私に、てめえは奴隷だ売れ残りだと言いながらも、よく教育をしてくれた。
 店番くらいできやがれ! と計算と秤や定規の使い方を教え、帳簿の写しくらいやれ! と読み書きを教えてくれ、うろちょろすると邪魔ッけえからこれでも読んでろ! と本を貸してくれた。
 南のほうで流行り病にやられたとき、いつまで仕事をサボる気だ! って薬を叩きつけてきた時は、とうとう思わず吹き出して、布団の中で一晩泣いた。


 * * * * *


 あるときアントンは、商売敵の策略で仲間たちに裏切られ、味方の一人もいない遠い国で財の一切を失った。
 先に払ってあったあと数日分の日数が過ぎたら、宿も追い出されて、寝る場所さえ失うという夜。
 アントンは、古くてどうしても売れ残った酒を自棄で呷っては地団太を踏んでいた。ああ、畜生。あいつら、あいつら。みんな持っていきやがった。畜生、こんな所で。相場の動きは分かってんだ。コショウ一箱と船賃の分の元手さえありゃ、何とでも返り咲いてやれるのに。




 夜更けにようやく静かになって、寝かせようとテーブルに近づいた時。べろんべろんに酔っ払った赤い顔でアントンは私に、初めて聞くような気弱な声でこう言った。
 なあ、ちび。今までのこた一切忘れて、小鳥みてえに生きようか。
 名前もなんも捨てて、どっかの街の隅ッこで、ゴミ拾いでもしてよ。右や左の旦那さまアって、頭下げてよ。
 どっかのでけえ農場で、下働きに入る手もあるか。お日様の下で蟻んこみてえに仲間と並んで草ア取ってよ。
 飯さえありつけりゃ、気楽なもんじゃねえか。なあ、ちび。そうやって生きていこう。




(続: http://card.zero-the.fool.jp/?eid=1380508
23:37 TRPG以外 comments(0) trackbacks(0)
「人魚の話」
追っかけてしまった男は王子様なんかじゃなかった。
流れ者の船乗り。まあ、確率的に妥当な話。
おかげでこうして、港町から港町。
酔っ払いどもの喧騒の中、
誰が聞いてんだか聞いてないんだか分からないアコーディオンを弾きながら
次はいつ来るんだか来ないんだか分からないあんたを待つ毎日。


昔のコネがあるから、海の男の行く先だったら何とか追える。
少しは姿も変えるとはいえ、そろそろ気づいていいんじゃないかしら。
行く先々の港町、長い巻き毛のアコーディオン弾きがいることに。


恋の歌ひとつくれない、酒焼けしただみ声。刺青のマドロス。
おめえは知らねえだろうけど、とお決まりの切り出し、偉そうに海の話。
酒場でだれか女相手に自慢話をしたいだけ、相手なんて見てもいないでしょ。
酔っぱらって、他の船乗りとまた喧嘩。そら、つまみ出された。


夜の裏路地、潮くさい風が冷たい。
膝の上にぱさぱさ髪の頭を乗っけて目元のあざを冷やしてやってると、
この期におよんで酔いの醒めてないあんたは、気分良くなって鼻歌唄う。
そうして星見て、また自慢話。ほんとに、このばか。
あんたが得意そうに話してるその海も、
あたしの父さんの国の上よ。乳母やといっしょに通ったわよ。
そんなこと気づきもせず、胸の上に垂れているあたしの巻き毛を弄っている。
日焼けして節くれ立った手、ひびが切れて、もういっぱしの老船乗り。
無造作な指。胸が熱い。ああ、このばか。もう何十年、あたしはこんな奴のこと。


あんたは知らないだろうけど、魚の一生は短いのよ。
こんど生まれ変わった時こそ、あんたを忘れてやるんだから。



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22:12 TRPG以外 comments(0) trackbacks(0)
太陽系をはみ出す勢い
 あけましておめでとうございます。
 旧年中はご来訪本当にありがとうございました。
 今年も細々とTRPGばかばなししたり
 地味な小道具を作ったりしていることかと思います、
 どうぞよろしく、たまに覗いてみてやって頂けましたら幸いです。


 いつもの4人は焼き餅くんの好きな浅草寺・浅草神社へ
 恒例の初詣へ行って参りました。
 その後ありろ家に帰ってボードゲームを遊び、
 夜には新宿に出てぺー吉くんの花嫁さんとカラオケへ。



あ: やー、きょうは盛りだくさんだったな!

唯: うん、たくさん移動した

あ: そうだなあ、浅草行ったし新宿行ったし

唯: 君はユゴスまで行ったし

あ: え!? ならお前さんルルイエ行ったじゃん

唯: ルルイエは地球上 たいしたことない

あ: そういう問題!?




 2011年の初ゲーム
02:33 TRPG以外 comments(0) trackbacks(0)
違和感
いつもの面子で那須に旅行に行ってきました。

何年か前から、年に一度はみんなで旅行に行っています。
めでたく全員社会人になったので、
今年は難しいかと思ったのですが
何とかスケジュールがつきました。

牧場や博物館へ出かけ、史跡を歩き、
足湯につかり、日が暮れてバーベキューをして、
一息ついたら流行に遅れたビリーズブートキャンプに挑戦、
シャワーを浴びてばったり眠り、
早起きして、前日に買ってきたパンと高原野菜を切って朝食を作り
テラスに出てみんなで食事、と健康な生活を……


……あ TRPGやってない。


22:05 TRPG以外 comments(0) trackbacks(0)
【ボードゲーム】ディッセント
今日は用事のため夜間にやっとありろ・唯祈宅に集まり、
22時になるというのに懲りずにディッセントを広げました。

GMは焼き餅くん、PLがありろくん・ぺーきちくん、唯祈。
パーティはこんな感じで。



TRPGさながらに各PLがPCを操り、
パズルのようにいくつかのピースをくっつけて作られた
ダンジョンの絵の上を進んで探索していくこのゲーム。

ひとりがGMになり、ダンジョンマスター的な立場でPCたちを迎え撃ちます。
GMは、ターンごとにGM用のカードの山からカードをドローしていきます。
その手札には、敵を出現させるとか、宝場を爆発させるとか、こわ〜いことが書いてあります。

これらのカードを手札として持っておき、時に応じて
それぞれに必要なコストを払いながら場に出すと、敵が出たり、扉から麻痺ガスが噴出したり、敵の移動力が上がったりします。

一寸先はまさに闇。
同じダンジョンでも、GMの手札、コストの使い方、作戦次第で全く違う展開になります。
何せ同じモンスターだって、GMが「モンスターの移動力を上げる」とか「二回攻撃させる」効果のカードなんかを出してきた瞬間に、PLの思惑を外れて大暴れ。
同じドアも宝箱も、今回は爆発するかも、ミミックが出るかも……
物陰からはいつモンスターの増援が来るやら。
床にさえ、いつ穴が開くか分からないんです。


PCはその中を必死に進み、クリアを目指します。
上のような状況なので、そう簡単にはいきません。
でもでも、もう一歩のところまではいくんです。

だからPLは、一回の冒険が失敗に終わるたび、
あの時ああしていれば、これを捨てていなければ、一歩あっちへ移動していれば……などなどと、わいわい悔しがります。

そして、よーし次こそは……!と、なるわけです。


この日はそうして、初の!PL側勝利を得ることができました。
やったー!!(夜中の3時半)
03:31 TRPG以外 comments(1) trackbacks(0)
【ボードゲーム】ルーンバウンド(2)
また各自仕事後の夜だけ集合、
ルーンバウンドに再挑戦。
運命カウンターを使う選択ルールを適用したり、
移動ルートの選択をみんなで考えたりして
時間短縮に挑みつつ。

書記、参照用のルールメモを作成。

ルーンバウンド参照用資料

左端に縦一列に並んでいるのは、
地図記号のようなものです。
これがかなり面白いです。
(続きを読むのところに少し詳しく解説してみました)

あと左下でうごうごしてるのは『炎の狂信者』です(だまれ・再)
続きを読む >>
00:51 TRPG以外 comments(0) trackbacks(0)
ルーンバウンド
実はこのゴールデンウィーク、
ありろくんが気の毒なほどの多忙のため(4/30、5/3、4、5、6と出勤)
TRPGはあまりできず。

めげずに短時間集合してボードゲームに挑戦。
従兄のMPKお兄さんからお勧めのあった「RUNE BOUND」を
予習を兼ねてプレイ。

冒険者となって街を出発し、
大陸の地図の描かれたボードの上を旅して
散在するクエストをクリアし、レベルを上げ、
お金を貯めて装備を整え、仲間を雇い、
悪いドラゴンを倒すことを目指す。
さながらTRPGのキャンペーンのような壮大なボードゲーム!


短時間で
終わらな
かった。


4時間て。
08:39 TRPG以外 comments(3) trackbacks(0)
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